高校無料化は現代版のシャウプ勧告への第一歩

自民党の政策BANKナビの内容は「これまでどおりやります。」であり、民主党のManifesto2009の内容は「このように変えます。」であると私は理解している。

民主党子供手当ては魅力的な政策である。出生率の低下はたしかに大問題だからである。しかし、それ以上に興味を持ったのは、公立高校無料化と私立高校への補助金の差である。これはうまくいけば格差の解消につながる政策となるだろう。日本は戦後のシャウプ勧告による税制により富の蓄積が難しくなり、機会平等よりも結果平等を重視した税制となった。しかし、現在では累進税率も弱まり、シャウプ勧告で導入された長者番付も2005年の小泉政権で非公開となった。つまり金持ちが見えない時代となって4年が過ぎている。

1980年代ごろ、私は子供だったが、そのころの保守系の新聞・マスコミには当時の経済界の指導者の累進課税への悪口が良くのっていた。曰く、ほとんど税金で持っていかれるから日本には本当の金持ちが生まれない。文化や独創が生まれない。私はそれらの意見に同調していたが、成人して、それは間違っていたのだと気がつくことになった。厳しい環境では強い生物が行き残る確率が高まるが、1950年代に導入された税制下でも富の蓄積に成功し金持ちになった人物の多くは日本の産業を復興させたスケールの大きな産業人である。小泉政権よりもっと前から累進税率はゆるまりはじめているが、金持ちは増えたものの、結果としてみると、小金持ちを沢山つくっただけに終わってはいないだろうか。

共産主義的な結果平等的な政策を推し進めても金持ちは生まれるはずである。ただし、旧社会主義国の支配層のような貴族みたいな層が生まれても困る。

また、現在の20代からは戦争を待望する声もあるが、
これだけ科学技術が進んだ時代で大国間で戦争を行うと、被害がどれほどのものになるか予想がつかない。

成熟した社会で、戦争以外の方法で、結果平等を取り戻す方法、それが問題であり、我々の宿題である。