参院選の論点

普天間移転の難しさ、鳩山首相の「学べば学ぶほど・・」という発言は、寝た子を起こすなんてという心情的な反発を多く招いてしまったものの、一方で、日本人が日本の住民利益のことだけを考えても、では台湾は、朝鮮半島は、中国は、という各国の反応をもとに対処せざるを得ないこと、目に見えない恩恵をどこから得てきていたのかを国民が身をもって学ぶ機会を与えてくれているようにも思えた。少なくとも私には大変勉強になった。

基地をめぐって議論することも大事だが、税制こそが参院選の論点であって欲しいと願っている。政府の税制調査会の専門家委員会の会議資料を閲覧することができる。

http://www.cao.go.jp/zei-cho/senmon/sensiryo.html

これまでの議論は格差の是正、それも同一世代内だけでなく世代を越えて蓄積される格差にも着目し、税制全体についての議論を行うというもので、大変期待している。

新鮮に驚いた資料もあった。

・米英で上位0.1%の富裕層が全国富において所有するシェアが急激に拡大したのに対し、日本ではシェアは拡大していない。低年収の世帯が急激に増えているにもかかわらずである。私は格差は拡大しているように感じていた。何がおきているのかをもうすこし明らかにする必要があると思われる。
・公債残高の額も伸び率も、先進国中トップである。少子高齢化の中での先送りは限界であり、対策が必要というのは認識する必要がある。
・日本の税金は国際比較において安い部類にある。
所得税最高税率松下幸之助の時代の70%から今では40%まで引き下げられている。一方で、この税率を戻しても、そもそも日本では対象者が少なく税収として期待できないという。
・日本では所得と学歴に相関があり、所得と寿命にも相関がある。また、高寿命となるほど医療制度による受益も多い。金持ちだけがトクしていると短絡的に考えてもよいが、よりお金を持っている人ほど、納税量に対して、受益も実は多いという見方もありえる。


日本の税制はどうあるべきか、今の姿をまだ完全に理解できていないが、これを理解することが、日本の未来につながると考える。

日本では貧困層が増えた。この貧困層が受け取るべきだったお金はどこにあるのか、
企業の内部留保か、配当か、あるいは企業の固定資産か、国の公債か。それとも正社員の給与か。富裕層の持つ国富のシェアが増えたわけではないという事実を元に考える必要がある。