江戸っ子流に納税者の尊厳を取り戻そう

政府税調第2回専門家委員会 会議資料より

http://www.cao.go.jp/zei-cho/senmon/pdf/sen2kai4.pdf

p14,p15に税率区分別に全納税者数におけるシェアと所得税の納税額総額におけるシェアが図示されている。

ここから読み取れることは次のとおり。
・日本国の納税者の8割は、税率区分では最低の5〜10%に属する。また納税額は全体12兆円のうちの、約2割の2.6兆円である。
・逆に所得上位の2割は、全体12兆円の残りの8割を納税している。最上位2%は実に全体12兆円の4割を納税している。
・昭和61年時点では、15段階の税率区分であり、一番下でも10.5%からはじまり、7割の納税者が全体の27%=約3割の納税をしていた。
・昭和61年と平成21年を比較すると、消費税の導入の結果、所得税の税率を見れば、税率は全区分で下がった。しかし納税総額でのシェアでみれば、上位者のシェアが増える結果となった。

p.21には所得階級別の所得種類の内訳のグラフがありp.22には現在の金融資産への課税率が図示されている。

ここから読み取れることは次のとおり。
・一定水準を越えると、所得が高い人から給与が高い人は消え、残るのは土地の譲渡を受けたか、株式の譲渡を受けた人のみである。
株式配当などへの課税は時限特例で上場企業なら10%というようにだいぶ甘い。

一つの仮説であるが、平成元年以降の税制改革は、所得上位から下位まで全階層で税率を下げたものの、総額に占める所得上位のシェアを増やす結果となった。それをなだめるために株式課税、相続税の減税などの策がとられる結果となった。所得下位を見れば、消費税のアップのために交換条件として所得税率を下げざるをえず、ますます上位者のシェアを増やす結果になった。もしこれが真だとすると、この流れは好ましくないと言えると思う。

納税は義務であると同時に権利であり、国民の尊厳を守るものという観点を基本にすると、税制改革は、納税者の尊厳を今よりも、高めるものであって欲しい。量の公平性の観点では高所得者ほど負担額が多くあるべきである。しかし、人間は全体における自分のシェアに対しても敏感な生き物であると私は考える。私はあえて、まず低所得者増税の議論からはじめるべきと考える。低所得者でもすくない所得から納税する量を増やしている。それにもかかわらず、今の高所得者は何をしているのか?こういう視点がでてきて欲しい。さすれば、納税は尊敬や名誉を集めるものとなるはず。江戸時代から存在する長者番付の復活や叙勲への考慮が機運として高まるかもしれない。低所得者層の生活は苦しくなるため、なにかアイデアをもたねばならない。

また、別の課題として日本において株式、土地などの真の資本を握る層は一定数いることがわかるが、失敗した共産主義社会主義的な策は愚かであるため、流動性を生み出す投資性の資本は大事にしなければならない。問題は資本を握る層が階層として固定化し、全体にとって不利益でしかない状態を防止することである。資本は個人の知恵と努力で生み出したものという見方が一つ、一方で、資本といえども、公の道路、水、公教育を受けた人民という社会資源の力なしでは富の再生産ができないことを踏まえて決める必要がある。