ジェーンおばさんとレッシグおじさん

ア) 誰に対しても正直であること、倹約をすること、競争と創意工夫を大事にすること

イ) 敵には嘘をつき味方を力で守ること、豪華で威厳があること、上下関係を守ること

A) 商人、大工、職人、農民、一般的な会社員

B) 警察官、軍人、裁判官、政治家、役人

アとAの結びつきが強く、また、イとBの結びつきが強いという関係に着目します。ジェーン・ジェイコブスさんは『モラル』というものは、Aの人たちとBの人たちでは違うという考えを彼女の著書の中で明らかにしています。

市場の倫理 統治の倫理 (日経ビジネス人文庫)

市場の倫理 統治の倫理 (日経ビジネス人文庫)

Bの人たちにはある程度生活に不安のない収入が保障されるのはなぜでしょうか?
Bの人々はAの人々が公平に公正に競争をすることをサッカーの審判のようにジャッジする立場にあります。もし薄給であれば、Aの中でも富裕な人たちに簡単に買収されて本来公平であるルールを不公平なルールにねじまげてしまう危険があります。これを防止するにはAの人たちから見て、誘惑に負けない程度の収入をBの人たちに約束しておく必要があります。

今日は、本の紹介はこれくらいにして、モラルハザードについて少し考えてみます。

例を挙げます。

Bの人たちがアの職業に手を出すこと、これを汚職といいます。

Aの人たちがイのような生き方をすること、これは独占といいます。

非合法にAとBの両方の性格を持つ生き方をすること、これはマフィアやヤクザ
と呼ばれます。

Bの人たちが、アのような性格の取り締まり、政治を行うと恐怖政治になります。

混ぜるとよくないという例を挙げましたが、次に互いに互いを不要と考えるケースを挙げます。

Aの人たちが、Bの人たちを不要と考えるとどうなるでしょうか?
Aの人たちは市場万能主義者であることが多いです。でも市場というものは情報が公平に流通することが基本原則です。Bの人たちの仕事なんて不要だとしてしまうと、Aの人たちの中で、平気で嘘をつく人があらわれたときに対抗できません。個人が騙されるレベルにおわらず銀行・生命保険会社などが騙されてしまっては結局は不幸がAの人たちに戻ってきてしまいます。

逆にBの人たちが、Aの人たちを不要と考えるとどうなるでしょうか? 生産者、製造者、現場の人間をおろそかにしすぎて立ち行かなくなる、結局は不幸がBにもやってきます。

他にも考えられそうですが、これでおしまいにします。次はローレンス・レッシグさんの著書を紹介します。

追記

最近流行している民間にすべてまかせたほうが良いという風潮は、
結局は情報が非対称で不公正な市場を生み出し、不幸を招くのではないか、
そんなことを思います。