高速道路無料化(2)

高速道路無料化がもたらす大きな意味を書き忘れていた。毎年3兆円の収入を根元からストップすることである。これは新規の大規模な道路の整備は国の政治判断で予算が降りない限り進められなくなることを意味する。

もしも旧日本道路公団ニューディール政策的な道路整備を日本中で続けてしまっていたらとんでもないことになっていただろう。これはたしかにストップしたい。

しかし、私はどちらかと言えば小泉政権で進めた2005年の政策の成否が見えるまでは、安易に民間から国に道路整備の権限を戻し直すことは避けたほうが良いと考える。その理由は次に述べる。

まず、2005年から4年しかたっておらず政策が成功だったのか失敗だったのかを点検できていないことが一つ、次に、日本は発展途上国ではなく海運、鉄道、道路、飛行機のインフラが既に存在する。それらが自然共生的に協業、競合の関係にある。鉄道ではJR東海が自社単独でリニア網を建設するプロジェクトを立ち上げているし、飛行機でも関西、中部、関東が競いあっている。道路についても政治家の判断よりも民間の判断で協業、競争が進められるほうが効率的にインフラ整備が進みやすいものと思われる。

以上の理由から、2005年の官から民への政策の振り子をまだ戻さず観察しておくのが良いと私は考える。

巨大プロジェクトはまだ国家で進める必要があるのかもしれないが、ユーロトンネルのように、もしかすると政治よりも先に、日露、日韓のトンネルを民間の商売上の判断で掘り始める時代が案外すぐにやって来るかもしれない。