2003-2008 自動車会社の下請けの下請けの下請けの下請けの話。

規模拡大は善。
納期短縮は善。
コスト削減は善。
製造ラインの停止は悪。
下請けに出す仕事は増やすのが善。

私はただ盲目的に働いて、会社の目標を達成していた。あれはやはり狂っていたんだと思わざるを得ない。

6年間で報奨金をもらった案件もあった。私は少しプライドを満足させていたかもしれない。でも今振り返ってみれば報奨金の何倍ではすまない、何百倍もの工数が不具合として消えていくのを目をつぶって規模拡大に走り続けた。勇気があれば、辞表を出してやめていたかもしれない。声をあげても周囲は人非人扱い。本当に、そういうときには辞めるしかない。

人の命がかかっていると、肝には命じていたが、非人間的な労働をしている人は、人の命を守る配慮ができるものではない。なぜなら働きながら死んでいるから。同僚は戦友と思っていた。だけど今、会いたくないのは,あの頃を思い出すから。お互いが刺しあうような感じだった。私が刺されたのは、きっと私も相当、彼、彼女を刺していたからだろう。

今でも私はあまり変わっていない。鮫みたいに。