技術者の愉しみ

幸いなことに、今、私は熟練プログラマー、中堅プログラマー、初心者プログラマーが混在している環境で働くことができています。働きながら、ベテランが若者に「コードを作るって能力と、人のコードを理解するっていう能力は全然別物だからね」と語りかけているのが耳に入ってきます。
これは人の作ったコードをメンテしたことがあるプログラマーは誰しも自分で作るときとの違いに戸惑うことがある、ということがわかる面白い発言です。

検証技術、機能安全、機械安全をなんとか自分でも会得したいと考えていますが、フォーマルメソッドのフォーマルってなんでフォーマルっていう名前なの?というような質問も、世の中には実は答えが1つとは限らないけれども、用意されているんじゃないかと、休日にコーヒーを飲みながら思いました。
フランスのグランジェという哲学者が『Formes, operations, objets』『Verification』という本を書いています。哲学書に限らず、本は読む順番が大切だという声を聞くので、まだ私には手が出せない本ですが、いつかは読破してみたいと思います。なぜってこのタイトルは、オブジェクト指向プログラミング言語と、最近、普及しはじめているプログラミングの検証技術のフォーマルメソッドの基本的な考え方がそのままタイトルになっているように思えるからです。

ドナルド・デイヴィドソン『合理性の諸問題』(ISBN:9784393323113)これも全然手が出せない本ですが、生い立ちやハーバード、海軍、スタンフォードプリンストンでの交流、交遊がインタビューの章ではいきいきと書かれていて、読んでいてワクワクします。オグデン・リチャーズ、アロンゾ・チャーチの名前が出てきて、人工知能であったり、自然言語処理であったりという80年代、90年代のコンピュータサイエンスの夢の基礎を作った人の名前が出てくると、この時代のアメリカ西海岸の交流の活発さ、活気がよくわかります。