モデル無しの設計は可能か

小林道夫『科学哲学』第3章「科学における仮説の導入と理論の構成」を読む。第3章の主題は物理における仮説である。ニュートンの著した『プリンキピア』において、慣性の法則万有引力の法則がこれまでの科学史の研究から、実はそれらを帰納的に支える論拠がない仮説であることが明らかになったとある。

仮説を使わないと誇ったニュートンも仮説を使っていた。なぜニュートンは仮説と気がつかなかったのか。また錬金術が残っていた時代で、ニュートン自身はいかにして力学の確立に成功したのか。これらは興味深い問題であるが、いったん、置いておきたい。そもそも帰納的な思考とは何か、また、仮説的な思考とは何かということが私には残念ながら明晰ではない。

この議論はプログラマーが行うモデリングという行為に関連していると私は予感するが、まだまだ準備が足りないことがわかった。